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京都府京都市|着物の素晴らしさを発信し、心やすらぐ時間を皆様に提供する【小林呉服店】 (京都府京都市伏見 × 文化)

京都府京都市|着物の素晴らしさを発信し、心やすらぐ時間を皆様に提供する【小林呉服店】

小林呉服店

小林 満 当主

呉服店

京都伏見の地域密着型の老舗呉服屋さん【小林呉服店】

インタビュアー: まずはじめに、小林呉服店様の事業内容をお願いいたします。

小林 満 当主:京都市伏見で呉服専門店を営んでいます。分かりやすく言うと”きものや”さんでして、小林呉服店は様々な着物を取り扱っています。
例えば、赤ちゃんが生まれたときのお宮参りで着る初着や七五三で着る着物、十三詣り、成人式の振袖や袴などの着物を取り揃えています。
これらの他にも、結婚や出産などのお祝い時に着る慶事(けいじ)の着物や、葬儀や法事などのお悔やみごとの時に着る弔事(ちょうじ)用の着物もご用意しています。
今お伝えしました着物たちは、儀式や通過儀礼時に着る着物になるのですが、それ以外にもカジュアルな外出着としての紬(つむぎ)と呼ばれる着物なども取り揃えています。

インタビュアー:何かイベントがないと着物を着てはいけないと思っていました。

小林 満 当主:そうではないんですよ。
何かイベントがないと着物を着てはいけない、といったルールはありません。
カジュアルな着物は、朝、目が覚めて「着物を着たいな」って思ったら、着物を着るといったラフな感じで着て頂いていいんですよ。
なので、着物を着たいと思ったら、どんどん着物を着て欲しいですね。
着物に着慣れると、全然苦しくないですし 、着心地も良いですよ。冬は暖かいし夏は涼しいし。

インタビュアー:小林様が小林呉服店の当主になられたきっかけをお伺いできますか?

小林 満 当主:私は、2代目小林呉服店の当主でして、先代が昭和40年(1965年)に京都市伏見区の現在の地、納屋町商店街で小林呉服店を創業しました。
私が20歳の時に先代が亡くなりまして、当時大学3回生であった私が、小林呉服店を継承したことが呉服店の当主になるきっかけですね。
当時は大学生と呉服店の当主という二足のわらじを履いていたので、両立が大変でした。

お客様の心の中に残るように着物の素晴らしさをお伝えする

インタビュアー:小林様のおおよその一日の流れをお願いいたします。

小林 満 当主:店舗が10時開店なので、9時頃には出勤していますね。
出勤後は、9時30分頃から開店準備をし、9時40分頃から朝礼を行い、10時の開店に備えます。
そしてお客様へ着物を自店のホームページやSNSなどでご紹介し、接客や取引業者との打ち合わせなどもあります。19時に閉店するというのが大体の一日の流れです。
ただ小林呉服店は、納屋町商店街という約50店舗ある商店街のアーケードの一角にある呉服店でして、私は、納屋町商店街の責任者も務めさせて頂いております。
なので、一日ずっと店頭にいるということはなく、商店街関係の打合せ会議などの公務もあります。

インタビュアー:着物を綺麗に着るポイントはございますか?

小林 満 当主:約10年くらい前から、着物の帯を体の前で結ぶ、前結び教室を開催しています。その教室の事を”和美作美和装学院”と言います。
通常は、手を後ろに伸ばし、体の後ろで帯を結ぶのですが、歳をとると後ろに手を回すのが難しくなる方もおられます。
なので、体の正面で帯を結ぶやり方をご紹介させて頂いています。
体の後ろで帯を結ぶよりも正面で帯を結び、くるっとその帯を後ろに回す方が、位置も決まりやすく、美しく帯を結べるんですよ。
また着物は、何回も着ないとなかなか着慣れません。
着物を着る回数が増えることによって、綺麗に美しく着物を着れます。そして着物の動きが身についてきます。
なので、皆様が沢山着物を着て頂けるよう、きっかけ作りも行っていきたいですね。

インタビュアー:呉服屋さんの面白さや難しさをお伺いできますか?

小林 満 当主:そうですね。
面白さではないのですが、呉服店をやっていてよかったな、と思う瞬間は、成人式のお客様の前撮りを見ている時ですね。
毎年、新成人の方を対象に、前撮り撮影会を開催しています。
カジュアルな服装で会場に来た新成人の方々に、ヘアメイクや振袖の着付けをし、撮影をするのですが、皆さんだんだんお顔がキラキラ輝いていくんです。
一人当たり、100枚ほどの写真を撮るのですが、1枚目の写真から段々といい笑顔になっていかれるんです。
もう、最後の頃には最高のキラキラ笑顔が見られるわけです。
またその姿を見ている、親御さんやおじい様、おばあ様もだんだんとニコニコしたお顔になり、幸せな空間に包まれます。
その幸せな空間に毎年毎年包まれる私も幸せですし、呉服屋冥利に尽きますね。

難しさは、着物職人さん達が造る新しい商品や作品の良さが、皆様になかなか伝わらないことですね。
着物を着たいというお客様の声は沢山あるのですが、古着やレンタル着物が流行っています。
もちろん、古着やレンタル着物は、着物を着る入り口として大変良いものだとは思います。
ですが、古着やレンタル着物だけで完結してしまうと、着物職人さん達が造る新しい商品や作品を知ってもらう機会が無くなると思います。
着物を着る入門編として古着やレンタル着物から入っていただき、ぜひそこから着物を好きになってもらい、しっかりとした産地で造られた職人さんの商品や作品を知って頂きたいですね。
確かに、職人さんが作った着物は、古着やレンタル着物のようにお手頃価格とまでは行きませんが、制作の工程を知っていただくと納得いただけます。
職人さんが造った作品や商品の良さを知って頂き、普段着として着物を着て欲しいと考えておりますが、なかなか上手く伝わらないのが難しい点ですね。

インタビュアー:これまでで印象に残っているお客様はいらっしゃいますか?

小林 満 当主:不治の病になられた新成人のお嬢様が印象に残っています。
そのお嬢様の病室まで、振袖をお持ちし、ヘアメイクや着付けを行い、記念撮影をさせて頂きました。
振袖を着たお嬢さんのお顔は嬉しそうな笑みを浮かべられていましたし、その姿を見たご両親も喜んでくださりました。
きっと皆さん、色々と覚悟はしていたと思うのですが、最後に感謝のお言葉を私にして下さり、お客様のご要望にお応えでき、心の底から良かったと思いました。
今後も忘れない、心に残る時間でしたね。

今後とも、”きものと日本文化を愛し、心やすらぐ未来を創造する”

インタビュアー:今後ともどんな呉服屋さんでありたいですか?

小林 満 当主:"小林呉服店は、きものを愛し、きものの作り手を愛し、愛するお客様と共に、きものと日本文化を学び、継承し、心やすらぐ未来を創造する事を目指します。"が小林呉服店の経営理念です。
この経営理念を体現するためには、着物を作る職人さんの存在が不可欠です。
現在は、着物を作る産地や職人さんが減っているのが現状です。
この現状を防ぐためにも、着物の素晴らしさを発信し、何かお祝い事の際には、日本の伝統的な衣装である着物を着て頂けたらと思っています。人生の節目節目には日本の文化である着物をぜひ着ていただきたいですね。
"着物を着ることで特に女性は、3割増に見える"という言葉もあるくらいなので、普段から着物を着て頂けるようなきっかけ作りをする呉服屋さんでありたいですね。

インタビュアー:最後に地域の皆様へ向けてメッセージをお願いいたします。

小林 満 当主:着物に関することは、なんでもお応えできると自負しております。
また、創業して50年以上経つ老舗呉服屋なので、地域のことや儀式に関することに関してはおおかたなんでも知っていますし、対応できると思います。私もこの業界が長いですし、様々な方々とのご縁を持っています。
着物のコンシェルジュであり、街の相談窓口のような感じですね。
なので、何かお困りごとがありましたら、お気軽にご相談して頂きたいですね。

それと、「呉服屋さんは敷居が高い」と言う話をよく耳にします。
その敷居の高さをなくし、呉服屋さんに足を運んで頂くきっかけ作りとして、今年(令和3年)の6月から、小林呉服店の店内でカルチャー教室を開催しました。
内容は、認知症の勉強や貯筋体操、お煎茶体験、筆ペン講座などです。
もちろん、着物美人になるための正しい姿勢の体操など、着物に関することもお伝えさせて頂いております。
他にも、地元の写真家さんにお願いして、綺麗な写真を撮るための写真撮影講座なども開催しています。
色々なイベントを開催していますので、少しでも呉服屋さんが皆様の身近な存在になれたら嬉しいです。

data 店舗情報

外観
店名
小林呉服店
カテゴリ(業種)
呉服店
住所
京都府京都市伏見区納屋町110-2
電話番号
075-611-0339
営業時間
10:00~19:00 ※定休日 火曜日・水曜日

担当したメンバー

渡邊

渡邊

watanabe

大学卒業後、ゴルフ好きが高じてゴルフウェアの接客販売を2年半経験しました。
接客販売の経験から人とコミュニケーションを取ることが好きであると気づき、インタビュアーの道を志し現在に至ります。
現在は株式会社トリニアスにて、マーケティングライターとしても活動しております。
代表者様からお伺いしたお話の中から背景をたどり、店舗様のストーリーや魅力を最大限に伝えるお手伝いをさせていただきたいと考えています。
読者にストーリーが伝わる文章の作成を心掛けています。皆様とお話しできる日を心より楽しみにしております。

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