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和歌山県田辺市の救いの場|当たり前を大切にするお寺【願成寺】 (和歌山県田辺市 × 生きる)

和歌山県田辺市の救いの場|当たり前を大切にするお寺【願成寺】

願成寺

和田 成弘 住職

寺院

元サラリーマン、「納骨のお寺」の御住職【願成寺】

インタビュアー: まずはじめに貴山の歴史をお伺いできますか?

和田 成弘 住職:はい、願成寺は今から約100年程前の昭和の初期に和歌山県田辺市にて建立されました。
当時から、この和歌山県の田辺市周辺としては珍しい「納骨」という供養方式を採用していました。今で言う納骨、永代供養のことですね。
昔はこの辺りだと、納骨する場合は、高野山や京都の有名なお寺に行くことが一般的で、この地域で納骨をすることが少なかったんですね。まあ、納骨ができるお寺が当地域になかったと言うのと、高野山や京都のお寺に行くまでの交通の便が今みたいに良いわけではなかったので、全員が全員納骨をすることができたわけではなかったのです。
当寺院は建立の早い段階から納骨堂や永代供養墓があったこともあり、地元の人達でも遠方に行かなくても納骨をすることができるということで、田辺市の地域一帯の方々には「納骨のお寺」と言われてきましたね。

インタビュアー:ありがとうございます。 次に、御住職の経歴をお願いできますか?

和田 成弘 住職:実は私は次男でして、若いころは、このお寺を継ぐとは思ってなかったんですよ。大学を卒業して約8年間、東京でサラリーマンをしてましたし。簡単に言うと、30歳を過ぎた頃お寺の継承について、親と兄と私で話し合い、色々あって私が継承した感じですね。
まあ、私もすぐに決心がついたわけではないんです。お寺という所は後継者がいないと、そこに住むことが許されない、つまり兄か私のどちらかが継承しないと、自分の生まれ育った実家がなくなるようなもので、それはそれで寂しいという想いも正直ありました。また、私は全然お寺とは関係ないサラリーマンを東京でしていたので、良くも悪くもお寺に対する先入観がなかったんです。そのことも、自分がお寺を継承した理由の一つかと思います。逆に兄は、お寺とは関係のない仕事をしていましたが、ずっとお寺の近くにいたので、お寺の大変な面も見ることが多く、そういう意味で継承に難色を示したのかもしれないですね。そういうわけで、私は正直、継承するまでお寺の大変さが分からなかったのですが、自分が生まれ育ったこのお寺を守ろうと決心し、今に至ります。

インタビュアー:やっぱり、御住職とサラリーマンとの違いはありますか?

和田 成弘 住職:全然違いますね。
一般企業は固定の勤務時間があったり休日があったりすると思うのですが、お寺の場合は365日年中無休ですね。住職なので文字通り、「住むことが職」なのです。そういう意味では、非常に珍しいタイプのお仕事なのかなと思いますね。あとは、一般企業と違う所は住職は地域に寄り添っている感じや一体感みたいなものを強く感じることができる所かな。

「話すこと2割、聞くこと8割」を重要視しているお寺

インタビュアー:「コロナの時代」と言われていますが、お寺に変化はありましたか?

和田 成弘 住職:そうですね、変化はありましたね。ただ私が思っているのは、潜在的に抱えていたお寺の問題がコロナをきっかけに一気に表面的になったって感じがしますね。
私が住職になって10年くらい経つのですが、お墓を持たない人や墓じまいをする人が増えているとか、最近の問題ではなく、10年前からそういう風潮があったんですよ。お葬式の規模を小さくするとかも、既に当時からそういう流れを感じてはいましたので、コロナをきっかけに表面化してきただけだなって私は思うんですけどね。
コロナをきっかけに、お寺を取り巻く環境変化の速度が2段階くらいスピードアップしたかなって感じですね。

インタビュアー:御住職としてのやりがいをお伺いできますか?

和田 成弘 住職:そうですね、やりがいは人との繋がりが深いところかな。
例えば、私でいうと元々サラリーマンをしていたので、お客さんやご契約者さんといった方々との付き合いを経験してきましたが、住職と檀信徒さんとの付き合いというのは、また違うレベルの深さがあるかなって思います。
檀家さんと住職の付き合いって、うちみたいな規模だと、檀家さんご家族の家族構成やより深いところまでわかってきてしまうのです。一歩踏み込んだお付き合いができる反面、責任みたいなものが伴ってきますね。そういう責任みたいなものを、ひしひしと感じるのは確かなのですが、「お寺として役に立てることは何か」とかを正面から真剣に考えることが、自分のやりがいにつながってくるのかなって。
また、住職って肩書もあってか、私よりも年上の方から相談を受けることもあります。多分、普通だったら80歳くらいの人が自分よりも遥かに年下の若造に相談なんてしないと思うんです。でも「住職」という肩書のおかげなのか相談してくれる人が多く、やっぱりそういう相談を聞くとしっかりしなきゃって思いますね。そういう年齢に関係なく相談してくれるということが励みになり、今こうやってやっていけてるのかなと思います。

インタビュアー:御住職として大切にされていることはありますか?

和田 成弘 住職:その方の話をしっかり聞くことを大切にしていますね。
一般的にお寺の住職のイメージは、説経や法話とか「喋りがうまい」と思われている方が多いのかなって思うんですけど、私が考える住職の仕事は、話すことは2割で聞くことが8割だと思っています。
結局、自分より遥かに年下で、若輩者の私になにかを相談して来てくれるということは、悩みを解決したいということよりかは話を聞いて欲しいっていう思いがあると感じています。むしろ話を聞くことが住職の仕事の大半だと思っています。
だから自分の話をするのではなくて、その方の話に耳を傾け、話を聞くことを大切にしています。

インタビュアー:御住職という職の将来性や重要性をどのようにお考えですか?

和田 成弘 住職:今は近所の高校で平日の昼間に書道を教えています。学校の先生という立場にもなるのかなって思うのですが、世の中の住職の大半は住職のみで何か他にお仕事をしているってことは、稀なのかなって思います。
前職がサラリーマンだったこととも相まって、私は結構、住職という職業を客観視することができているのかなと思うのですが、住職を職としている人は、世の中から住職はどういう風に見られているかもう少し意識した方が良いのでは?と思いますね。もっと言うならば、世の中から良いように見られていないから、もっと世間の目を意識した方がいいのでは?と思います。神職だから、住職だからってあまり偉そうにせずに、人として基本的なところを気をつけないと将来性がないぞって思います。本来、人として当たり前のことができていることが前提の住職ですしね。また、お布施で生活させて頂いているという意識が薄い住職が多いのも問題ですね。高級車に豪遊に、あまりに華美な生活をしていると、世間から見放されるぞ、とも思いますね。
どうやら近年、戦後から2代目3代目の住職が生まれてきている中で、住職を継ぐことが当たり前、できることが当たり前、もっと踏み込むなら、お布施がもらえることが当たり前と思っている住職もいるように感じます。この状況が続くと、仏教に興味がなくなってしまう人が増えてしまうのではないか、嫌いになってしまう人が増えてきてしまうのではと危機感を覚えています。
住職は基本的にずっとお寺の中にいるので、どうしても自分を客観的に見られなくなってしまうのか、世間からどう見られているのか分からなくなってしまっているんだと思います。
住職という職の将来性はもちろん、お寺の将来性も危ぶまれます。自分で自分の首を締めずに住職は一度襟を正していかないといけないですね。もっとちゃんとしていかなければ!って。

優しく柔らかい雰囲気で地元田辺市の皆様を見守るお寺

インタビュアー:貴山のこれからの目標をお願いできますか?

和田 成弘 住職:そうですね、今までお寺は檀家制度に守られてきたと思っています。言い換えると、何もしなくても檀家さんという固定客だけで成り立っていたということになります。田舎では特に、今まで檀家さん以外に情報を発信することがなかったんです。
でもこれからは、うちだったら納骨だったり永代供養だったりと、檀家であるなしに関わらずできることがあるって情報を、それを必要としている人達に発信していかなくちゃなって思っています。少なからず何かしらの情報を探している人はいるんだから。
前に、地元の人に言われて驚いたのは、うちは納骨料・永代供養料とかあんまり他のお寺さんを気にしたことがないんですけど、比較すると安いらしくて。ただうちは今までそういう発信をしてこなかったので後々、地元の人に「こんなに安くしてもらえるお寺があったなんて知らなかったよ」って言われることが多くて。そういう経験からお寺側から情報を発信していく必要があるなって思いましたね。
お寺それぞれに独自の魅力があると思うんです。その魅力を知り、最終的に選ぶのは結局皆さんであり、自由なのだから選択肢を増やすという意味で、お寺からの情報の発信が大切になってくると思いますね。

インタビュアー:では最後になりますが、記事を見てくださった皆様にメッセージをお願いします。

和田 成弘 住職:そうですね、うちはイメージ的に柔らかい雰囲気で、厳かなとか格式の高いって感じではないので、「気軽に来てくれたらええよ」というような雰囲気です。
たまたま近隣の学校で書道を教えたりしている関係もあって、毎月お寺の掲示板に手書きで「今月のことば」として一言メッセージを掲示しています。GoogleやYahooに画像も載せたりしているので、離れた場所にいる人で実際に願成寺に来れなくても、よかったら見てもらって何かしらの形でお寺というものを少しずつ知ってもらえたらなって思います。
今まではお寺は格式の高い・堅苦しいというイメージ、特に若い人たちはそういうイメージがあると思うのですが、なんか面白いこと書いてあるやん!ってちょこっと見てお寺に興味を持ってもらえたらって思います。

data 店舗情報

外観
店名
願成寺
カテゴリ(業種)
寺院
住所
和歌山県田辺市古尾18-5
電話番号
073-922-3591
アクセス
阪和自動車道「南紀田辺インター」より車で5分 JR紀伊田辺駅よりタクシーで5分 駐車場有「10台」

担当したメンバー

渡邊

渡邊

watanabe

大学卒業後、ゴルフ好きが高じてゴルフウェアの接客販売を2年半経験しました。
接客販売の経験から人とコミュニケーションを取ることが好きであると気づき、インタビュアーの道を志し現在に至ります。
現在は株式会社トリニアスにて、マーケティングライターとしても活動しております。
代表者様からお伺いしたお話の中から背景をたどり、店舗様のストーリーや魅力を最大限に伝えるお手伝いをさせていただきたいと考えています。
読者にストーリーが伝わる文章の作成を心掛けています。皆様とお話しできる日を心より楽しみにしております。

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